#2 なんとか彦
この小噺はつくり話です。
小林賢太郎氏の作品にインスパイアされて書きました。一部のアイデア、固有名詞をそのまま使わせていただいています。出典は最後に書いてあります
「はい、こちら地球防衛隊亀彦。なに??またカメ彦とメカ彦が暴れまわっている?」
電話対応をしたのは地球防衛隊隊員、通称塔登りの亀彦。世界中のありとあらゆる塔を登り尽くした男である。高いところならお手のものということで、なぜか地球防衛隊でチーフを任されている。彼と同じ名前の怪獣、カメ彦がまた暴れているらしい。今回はメカ彦も一緒だという。うーーーん、困った。ただでさえやっかいな怪獣が2匹である。名前も似ていてほんとにややこしい。
よし、ここは助っ人作戦だ。おっと、その前にお茶お茶。
「おーい、お茶彦!お茶を入れてくれー。そこのおゆひこにまだお湯はいってると思うんだけどー」
「え?おゆひこ?」
「あ、ポットにつけた名前だよ」
「(はぁ?ポットに名前?)そーなんですか。はい、お茶でございます。」
「仕事の前にはやっぱりお前のお茶だよな」
お茶彦、仕事が早い。おゆひこもいい仕事をしている。
さてと、どうするか。ずずずーっとお茶をすすりつつ考える。海彦と山彦に連絡するか。たしかLINE交換してたはずだ。
海彦と山彦はとあるマフィアの一員で、色んな武器に精通している。ノコギリだって万能包丁だって、なんでもござれのゴンザレスだ。彼らに来てもらえれば百人力だな。ま、2人だけど。そうだそうだ、麦彦も呼ぼう。あいつ最近どこかの高級クラシックホテルでバカンスしてたらしいぞ。リフレッシュして戦闘能力も上がっていることだろう。しっかり働いていただくとするか。
などと考えていたところへまた電話が入った。
「はい、こちら地球防衛隊亀…。おお、これはこれはいろいろマン!ひさしぶりだな。なに?今から加勢に来てくれるというのか?それは助かる。やはり対怪獣にはなんとかマンっていうのがいいよな。ありがたい。すぐ来てくれ。」いろいろマンとして活躍している青島松彦が来てくれる。これは心強い。合わせてワニ型怪獣ゲリ彦も投入すれば無敵だ。これで地球も安心だ。亀彦、作戦の見通しが立ってひとまずほっとする。
そこへ1人の男性が現れた。
「よっ!亀彦、元気そうじゃないか」
「サダ彦おじさん…膝の具合はもういいんですか!!」
「お陰ですっかりこの通りだよ」
「また一緒に戦えるんですね」
「ああ、頼むぞ、亀彦。ところでお前、家彦おじさんのこと覚えてるか?」
「昔、よく日本史の宿題見てくれたあのおじさん?なっつかしいなぁ。徳川家の将軍にやたら詳しいんだったよね」
「人手が足らないなら来てくれるってさ」
さらなる助っ人が現れた。よーし、これでカメ彦もメカ彦もこてんぱんにしてやるぞ。待ってろよー。
戦いは終わった。海彦、山彦、松彦、ゲリ彦、麦彦、サダ彦、家彦のひこひこチームのおかげでカメ彦&メカ彦はめっためたにやられてしまった。
遠い目で何かを見つめる亀彦。今日も夕焼けが美しい。亀彦の手にはチェーンがついているナット。亀彦の友人だったちゃり彦の形見だ。ギュッと握りしめる。
「ちゃり彦。見ててくれよ。俺は必ず地球を守ってみせる。」
……というお芝居の亀彦役をやるけけ氏。熱心に台本に目を通す。
「塔登りの亀彦ぉ?なんかだっせー名前だよな…。タワークライマーMr.Kとかさ、そいうのがよかったや。それにやたらとなんとか彦ってのがでてくるんだけど、なんだこれ?」
けけ氏、つくる人であり演じる人でもある。今後の活躍が楽しみである。
出典
TOWER 五重塔
KAJALLA#1 しあわせ保険バランス
ハナウサカイグリVol.25
KAJALLA#2 尋問
こばなしけんたろう D氏を待ちながら
STUDY いろいろマン
雀 雀
home 縄跳び部
DROP 椅子落語其ノニ
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