Mr.KK’s untold stories. 〜けけ氏は紅茶がお好き〜

#3 紅茶を飲む

 

この小噺はつくり話です。

小林賢太郎氏の作品にインスパイアされて書きました。一部のアイデア、固有名詞をそのまま使っています。出典は最後に書いてあります。


 ギンッ!おはようございます。

 

 けけ氏はおそろしく目覚めが良い。目覚まし時計なんて砂時計である。最後の一粒が落ち切った音でギンっと目覚めるのだ。寝ている間に小説なんかを書いたりもしているらしい。夢から着想を得て作品を作り出すこともあるけけ氏だが、ちょっと働きすぎな気がする。

 

 さて、けけ氏は起きるとすぐ紅茶をいれる。コーヒーも大好きなのだが起きてすぐは紅茶と決めている。今日のチョイスははイングリッシュ・ブッレクファースト。銀座にあるフランスの紅茶を売っている店で買ってきたイングリッシュ・ブレックファースト。ふふふ、この腑に落ちない感じがたまらない。熱い紅茶を飲みながら思いを巡らせる。

「思えば色んな人たちと紅茶を飲んできたなぁ。」

 

 イルマさんって言ったっけ?頭に羊のツノが生えた帽子をかぶった紳士。とても紳士なんだけど「カメレオン兄弟」なるコンビを組んで漫才をやるらしい。しかもそれは日本語ではないというのだ。人は見かけによらないものだ。イルマさんの漫才、見てみたい。どこに行けば見られるんだろうか?

 

 なんとか島にある大きな壁に大砲をぶっ放すという物騒なバイトをした時は、休み時間にみんなでお茶をしたものだった。力自慢だったアニキ、今頃どこでどうしているんだろう。鐵工所が潰れそうだなんて言ってたけれど。

 

 花柄のスーツを着た英国紳士のような人ともお茶したな。英国紳士であり、情熱的であり、牧歌的であり…なんだかよく分からない人だった。お茶も好きだったがテキーラも好きだったな。今度一緒に飲みに行ってみたい。テキーラ以外のお酒を教えてやるとしよう。Dのついたウイスキーがいいかな。

 

 そうそう、なんとか工務店の奥さん、最近旦那さんと別居したって。なんでも、お茶しながら相撲中継見てたら、塾へ行ってるはずの息子と旦那が升席に座って盛り上がっているのがバッチリテレビに映ってたらしい。息子にはきちんとした教育を受けさせたいっていう奥さんの話ももっともなんだがな。なんとか大工の旦那と折り合いをつけて元の鞘に収まってくれればいいのだけれど。

 

 なんだかよく分からないペットと同居していた時、そのペットとお茶の時間を過ごしたこともあったな。熱いお茶とドーナツ。うん、あれは美味しかった。やはりペットは人の心を癒してくれるものなのだな。あのペット元気にしているだろうか。また会いたいな…。

 

 などと考え事しながらお茶を飲んでいたら、もうカップが空。もう一杯飲むか。こんな時お茶を入れてくれる誰かがいてくれればいいのに…。

 「おーい、お茶ひ…。いやいや、自分でやらなきゃ…。」かつてのパートナーお茶彦は今はここにはいないのだ。

 

 さあさあ、けけ氏、今日はどんなものをこしらえるのだろう。

 

出典

ノケモノノケモノ

ロールシャッハ

振り子とチーズケーキ

TAKEOFF

ポツネン氏の奇妙で平凡な日々