Mr.KK’s untold stories.〜けけ氏は東急ハンズがお好き〜

#4 東急ハンズ

 

この小噺はつくり話です。

小林賢太郎氏の作品にインスパイアされて書きました。一部のアイデア、固有名詞をそのまま使っています。出典は最後に書いてあります。

 

 けけ氏はつくる人。ものを作る人にとっての聖地とも言えるのが東急ハンズである。ここに来れば創作に必要なものは大抵手に入る。渋谷や池袋の東急ハンズをけけ氏も毎日のように訪れている。たくさんのモノにあふれたフロアはさながら道具のワンダーランドである。探し物があってハンズに行くと、けけ氏は夢中になるあまり、「勝手に在庫の棚を開けないでください」って店員さんに怒られてしまうこともしょっちゅうだ。もはや商品の在庫がどこにしまわれているのかさえ把握しているのである。東急ハンズの達人、けけ氏。いっそのことここで働いてしまえばいいのに…。

 

 そんなけけ氏なので、先日の街頭アンケートではこんなことを言ってしまった。

 「最近嬉しかったことはなんですか?

 「欲しかった道具が見つかった時です。」

 「では最近悲しかったことはなんですか?」

 「そうですねぇ、東急ハンズが休みだった時は悲しかったですねぇ。」

けけ氏の東急ハンズ愛が止まらないようである。

 

 今はつくる人をやっているけけ氏だが、学生の頃には「金のためならなんでもやる部」に入っていた。頭の切れる副部長だった。学園祭で一儲けしようと、前日からプチハンズを経営しようとしていたこともある。そこまで東急ハンズを愛する男なのだ。その後なぜ東急ハンズに就職しなかったのか、未だ謎である。

 

 けけ氏の知り合いに売れない画家をやってる男がいる。アーティストとの付き合いも多いのである。彼はたまにけけ氏のマンションにやって来ては、アートの話かなんかをして帰っていく。この間はけけ氏の家の冷蔵庫を開けるなりこんなことを言っていた。

 「お前んちの冷蔵庫は東急ハンズだな。」

どういうことだ?ま、色んなカラフルなビールを冷やしておいたから驚いたんだろう。ふふふ。けけ氏は思い出し笑いをした。

 

 「あ、そうだ。この間中古で買った不思議な装置。あれ、パッキンがカッサカサになってダメになってたんだった。中古買うとこういうことあるからなぁ。しょうがないハンズ行くか。」

なんだかんだといいながら嬉しそうなけけ氏である。さあ、東急ハンズへ出発だ。

 

 けけ氏、今日もどこかの東急ハンズに出没していることだろう。見かけたらそっとしておいてあげてください。

 

出典

鯨 バースデー

good day house

study   金部

鯨 器用で不器用な男と不器用で器用な男の話

The SPOT   オープニング