#5 相撲
この小噺はつくり話です。
小林賢太郎氏の作品にインスパイアされて書きました。一部のアイデア、固有名詞をそのまま使っています。出典は最後に書いてあります。
けけ氏の国の国技は相撲である。成人男性がほぼ全裸で取っ組み合いをするという、なんとも不可思議なスポーツである。相撲の様子は国営放送で毎日中継される。それほど好きではない人でも、なんとなく見てしまう。みんなもそうだと思うのだが、ニュースのスポーツコーナーで、今日どの力士が勝ったのかはけけ氏も忘れずにチェックする。やはり不思議なスポーツである。それだけ人々の日常にしっかりと馴染んでいるということだろう。
「相撲!相撲!相撲!相撲!」
とテレビの前に鎮座するけけ氏。国技を鑑賞するのだ。姿勢を正すのは当然のことだと思っている。ワクワクしながら画面に食い入るように見つめる。
最後の試合を飾るのは相撲のグランドチャンピオンだ。この試合だけは特別に『結びの一番』と呼ばれて大いに盛り上がる。
「おお〜、結びの一番〜。大きなテレビ買っといてよかった〜。」
けけ氏、興奮が隠せない。
そういえば相撲観戦が元で奥さんと子どもと別居することになってしまった友人がいたな。(この件、この間も思い出したやつじゃないか!)塾の月謝をごまかして枡席で子どもと相撲を見たってな。そりゃ奥さんに怒られるだろう。久しぶりに思い出した。(ぬけぬけと嘘をつくけけ氏)あの夫婦、どうなったんだろうか。けけ氏、しばし思い出にひたる。
さて、この相撲の試合は『国技館』という特別な場所で行われる。ただし、試合は奇数月ときまっているので、偶数月には当然相撲は見られない。その代わり、と言ってはなんだが別の催し物が行われる。先だっては『説得選手権』が行われていた。相撲と同じ場所でやるのだ。きっとルールだって相撲に似ているに違いない。
「説得選手権か。面白そうだな。」
けけ氏、今度の休みに行ってみることにした。
けけ氏はチケットを探し始めた。
出典
news 王様
KKTV#4 お題コント
TAKEOFF
KKTV#9 説得選手権