Mr.KK’s untold stories.〜けけ氏は怪獣がお好き 其ノ三〜

#20 怪獣 其ノ三

 

この小噺はつくり話です。

小林賢太郎氏の作品にインスパイアされて書きました。一部のアイデア、固有名詞をそのまま使っています。出典は最後に書いてあります。

 

『けけ氏のアトリエ』続き

 

3月6日放送『けけ氏のアトリエ』より

けけ「今日は食べ物怪獣さんたちにお越しいただいています。では、一番小さい方からお話伺いますね。なんかいい匂いがします」

ロッピー「こんにちは。ボクはロッピーと言います」

け「えーっと、ロッピーさんを含め今日いらしゃった方々は変身怪獣だとうかがっています」

ロ「そうですよ」

け「何に変身されるんですか?」

ロ「ボクは分解光線を受けるとバラバラになって6Pチーズに変身しちゃうんです」

け「6Pチーズ??どうりで美味しそうな匂いがするはずです」

ロ「ちゃーんと箱に収まりますよ」

け「分解光線で変身ですか…」

パクレス「自分もそうです」

け「あ、どうも。えーっと、こちらは…」

パ「自分はパクレスです」

け「あなたも変身を?」

パ「自分はクレパスになりました」

け「おふたりとも子どもに喜ばれそうな怪獣さんたちですね」

ロ、パ「そうですね。あんま、怖がられなかったかも、ですね」

け「もうおひとかたいらっしゃいますが…」

ロ「彼は無口なんで、ボクが紹介しますね」

け「よろしくどうぞ」

ロ「ちょっとボロボロな感じで強面なんですけど、悪い奴じゃぁないんです。分解光線で分解されると一枚の地図になると言われています。この世界がひとつにまとまるためのヒントが与えられるらしいのですが、詳細は…謎です」

け「ほおぉ…」

パ「僕たち、分解されるとスッキリ収まるので、おさまり弁天様の遣いのものだとも言われているんです」

け「ああ、あの何でもぴったりに収めてくれる??そうでしたか。こいつは何だか縁起がいいや。それから、えーっと、もう1人いらっしゃいますね。こちらからもなんだか香ばしいいい匂いがしてきます」

ギ「はじめまして。ギョウザ怪獣ギョザーンだよ」

け「あ、なるほど。見た目がもう、ギョウザですね。お仕事は何を?」

ギ「おいらの使命はギョウザをもっとこの世に広めることなんだ。ギョウザをどんどんまき散らすよ!」

け「それはうれしいなぁ。空からギョウザが降ってくるなんて最高じゃないですか。早速今日、この後お願いできますか」

ギ「いいよー。たっくさんまいときますね」

ロ、パ「自分たちも食っていいっすか??」

ギ「もちろん!皮まで手作りのギョウザだよ〜!」

け、ロ、パ「やった〜!」

 と、そこへ息を切らしたもう1人(?)の怪獣がやって来た。ネコ?いやチョココロネ?またもや美味しそうな匂いがする。

コロネーロ「すみませーん、遅刻しちゃって!!」

け「ああ、コロネーロさんでしたか。いらっしゃい!」

コ「パン焼いてたら遅くなちゃって。これ、皆さんでどうぞ。手作りパンです」

け、ロ、パ、ギ「ギョウザの次はパンだー!今日のランチはこれで決まりだな!いえ〜い」

 

 6Pチーズにクレパスに地図か。キチンと収まるといえば、子どもの頃に遊んでいた自作の空き箱合体ロボットのおもちゃを思い出したけけ氏*。あんな風にぴったりと箱に収納できたのはおさまり弁天様のおかげだったのかもしれないな。チーズの箱やクレパスの箱にピッタリ収まる怪獣たち。そしてギョウザやパンをまき散らしてくれるというギョザーンとコロネーロ。怪獣イコール悪ものというイメージが無くなるよな。みんなが共存できる世の中、それが1番幸せだよ。ギョウザとパンのおかげで心もお腹も大満足のけけ氏であった。

 

 インタビューは無事放送され、なかなかの反響だった。オンデマンドでも配信される上、来週には再放送もある。見逃した方、ご安心を。

 

 ほっとしているけけ氏の視界に海からぬっと現れたのは新たな海獣、いや、怪獣だった。

「あ、あれが『あれ』か…確か…カジャ…………………ちょっと見てくるか…」

 

* #14 ロボット、あるいはウイーンガシャン、ウイーンガッシャーン‥参照

 

出典

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